父への手紙

父は、昔ながらの人なので、パソコンやスマホは持っていません。

なので、このブログが父へ届くことはないのですが、父へ伝えたいことを手紙の用に綴ろうと思います。

 

 

 

お父さんへ

 

お父さん、これから先、歳を重ねていく中で、できないことが増えていくことかと思います。

そんな中、このようなことになり大変残念です。

 

私たちは、大人になり、お父さんの社会的地位を尊敬をするようになりましたね。

それまでは、ただ「怖い」存在だったのに、その地位を私たちが理解し、もてはやすようになりました。

その辺りから、私たちを「自分の承認欲求を満たす存在」になったのではないでしょうか。こどもの時よりも、楽しく過ごせることが増えていたと思います。

いい意味で、お父さんは「怖いだけの存在」ではなくなっていました。

今思えば、一番幸せな時期でした。

 

そんな中、お母さんへの態度は変わりませんでしたね。

いつまでも「女は三歩下がって歩け」「俺と対等になろうと思うな」「俺のやることに文句を言うな」なんて、時代錯誤甚だしい言葉を平然と放っていたことに、今も嫌悪感を持ちます。

 

お母さんの立場になって一度でも物事を考えましたか?

昔の愚痴を言うお母さんに、一度でも謝罪をしたことがありましたか?

愚痴を言われても仕方ないのに、なぜ反省できないのですか?

なぜ、いつも怒りに支配されているのですか?

 

お母さんは「病気になれば、お父さんは理解してくれるだろうか。」「病気になりたい。」と口ずさむことが多くなりました。

 

お母さんは、本当に病気になりました。

病気になったお母さんは、最初のころ、「これでお父さんが変わるかもしれない」と本気で言っていました。

そこに、「自分」はありません。

夫のために病気になりたいと思っていたんです。

お母さんの人生を返して下さい。

 

病状が悪化した際は、少しずつお母さんへの態度が優しくなったように私たちには見えていました。私たちも、そんなお父さんへ寄り添うようになってきていましたね。

 

でも、すぐに、お母さんから私たちへ愚痴の電話がかかってきていました。

時には、泣きながら「私の人生はなんだったのか」とお母さんは繰り返していました。

なぜ、深刻な病気の妻をそんな状況にするのですか?

 

病と闘っている人に浴びせるにはあまりにも酷すぎる言葉の数々を、私たちはいつも聞かされていました。でも、お父さんが怖くて指摘することができませんでした。

 

余命短いお母さんが、お父さんの心無い一言で「あの人に、私の苦しみはわからない!早く死にたい!」と泣いているのを見て、私たちは、ここで声を上げなければいけないと思いました。

いつ指摘しようかと考えていた際、お父さんがした話の流れでそのチャンスがありました。私たちがやっとの思いで声を上げたのに、よくわからない屁理屈で「私たちが間違っている」と恫喝しましたね。

 

まさか、あそこまでのことになるとは思いませんでした。

あの怒り方・暴れ方を見て、「あぁ、やっぱり変わっていなかった…。」

そう思いました。

 

お母さんが亡くなり、私たちがしがみついてきた「家」はもうありません。

あなたが自ら崩壊させたのです。

私たちはあなたから逃げます。もう関わらないでください。お願いします。

 

自分の精神疾患に気づいて、他者との関わり方を見つめ直してくれることを遠くから願っています。

 

さようなら